「MVNO(エムブイエヌオー)」という言葉を知っていますか?耳にしたことはあるけど、実際は何の事だかサッパリわからないという人も多いのではないでしょうか。よく「SIMカードがある」「コスパが良い」という説明をされることも多いMVNO。しかし、実のところどんな仕組みなのか理解できないまま利用するのは、何か裏があるのではないかと不安になるはずです。そこで、この機会にMVNOについてよく知り、使いこなせるように、詳しく解説していきます。
SIMカードってどんなもの?
SIMカードとは、「Subscriber Identity Module Card」の略称で、電話番号や回線契約に関わる情報が登録されているICカード。携帯電話やスマホに差すことで、その端末は電話やデータ通信することができるようになる重要なものです。
そもそもMVNOって何?
MVNOとは、大手通信キャリアであるdocomoやauからネットワークを借り、その回線を自社のブランドとしてサービスを行う会社のこと。正式名称は、「仮想移動体通信事業者」で、MVNOは、「Mobile Virtual Network Operator」の略称です。ユーザーは、MVNO各事業者が提供するSIMカードに対応するスマホに挿入することで、サービスを利用することができます。
現状、多くのMVNOは、docomoからネットワークを借りているため、電波エリアやLTEなど通信品質は当然docomoに準じます。非常に安心なサービスといえるでしょう。ただし、回線速度は各MVNOのサービスによって多少の差があるので注意が必要です。
“安い”って聞くけどどうしてなの?
docomo、au、softbank各社は、安定した通信回線や質の高いサポートを提供するため、基地局の設置・保守をしています。当然、そこには設備投資や運営費など多大なコストがかかってきます。しかし、MVNOは、キャリアからネットワークを借りているため、これらの費用は不要。その分安くサービスを提供できるというわけです。
では、具体的にどれくらい安いの?
docomo、au、softbankの3社とMVNOを比較してみましょう。まず、3社の新料金プランでは、月額通信料は、各社とも通信容量(1か月あたり)2GBが3500円、5GBは5000円です。一方、MVNOは、通信容量1~3GBが月額1000円前後、5GBは1500円前後のところがほとんどです。それどころか3000円以下で無制限プランを設けるMVNOも複数見受けられます。
続いて、月額通話料金については、3社とも通話し放題で2700円。これに対してMVNOは、先のデータ通信料金に700円前後を追加することで音声通話付きサービスを利用することができます。(※通話料金が30秒/20円の従量課金の場合が多いです。)
こうして比較すると、多くの人にとってMVNOの利用は、大幅な節約につながることが、おわかりいただけたでしょう。
他にはMVNOのメリットってある?
■料金プランが利用者のニーズにマッチ
MVNOのSIMカードは、データ専用SIM (SMS対応・非対応)と通話付SIMの3タイプ。さらに各MVNOは、多彩なプランを用意しています。ですからデータ通信の頻度、通話の有無など自分の利用状況に沿ってMVNOを選ぶことが大切です。
たとえば、各MVNOのSIMカードプランにもこれだけの違いが……
■MVNOはお試し契約にも向いている?
docomo、au、softbank各社で、端末契約時にサービス利用料を割引することを条件に課される2年縛り。それがMVNOには、ない場合とある場合があるので、しっかりと見極める必要があります。また、電話番号をそのままで他社に移転できるMNPも問題なく行うことができます。
でも、デメリットもあるのでは?
■キャリアメールは使用不可
MNNOは、メールアドレスの「@docomo.ne.jp」や「@ezweb.ne.jp」といったキャリア特有のメールを使用できません。多くの人にとって、フリーメールやLINEで代用できるので、それほど心配する必要はないでしょう。
■端末を購入する初期費用が必要
docomo、au、softbank各社では、端末の分割支払い額が、月々サポート、毎月割などの割引制度で相殺され“実質端末代0円”となることが多いです。しかし、MVNOは、そうしたキャリアと同等のサポートが少ないため、端末を一括もしくは分割で購入する必要があります。
MVNOの現状はどうなの? 将来性は?
もともと、MVNOは、対面販売がメインのdocomo、au、softbankとは異なり、インターネット販売がメインでした。そして、MVNOのSIMカードを入手した人は、海外製のSIMフリーのスマホを用意して利用していました。どちらかと言えば、これまでのMVNOは、少しマニアックな部類で、知名度が低いものだったといえます。
そんなMVNOの名が広く知られるようになったのは、昨年夏にdocomo、au、softbank各社が発表した新料金プランがきっかけといえるでしょう。通話料定額制の導入を踏み切ったものの、トータルで見れば実質値上げではないかという不満の声が上がったことを背景に、“プランのお得感”を謳うMVNOの注目度が増し、その動きが活発化しました。
例えば、スーパーや家電量販店でなど実店舗での取り扱いの増加。そして、MVNO同士の価格競争が激化し、さらなる値下げやサービスの拡充が進んでいます。端末面では、最近、海外製端末だけでなく、国内のソニーモバイル製「Xperia™」がMVNOのSo-netから発売されました。
MVNOによって、今後ますますスマホの料金を抑えながら、高性能な端末を使える環境が整ってくることでしょう。
最後におさらい! MVNOのポイントは3つ
- 回線を大手キャリアから借りることでコストを抑えており低価格
- 量販店など実店舗で対応しているMVNOもあるので安心
- MVNO対応端末の増加で高性能スマホも選択できる
基本的にMVNOは、利用者ごとのニーズに合わせて利用できるので、高いコストパフォーマンスを実現します。強いてどんな人に最適なのかと言えば、データ通信メインで音声通話をあまり使わない方や、月額料金を下げたい方。特に既婚のビジネスパーソンであれば、限られたお小遣いの範囲内で、スマホやタブレットを有効的に運用できるのはMVNOならではの大きな魅力です。